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National Golf Foundation College Textbooks
THE GOLF FUNDAMENTALS
-  ゴルフ経営原論  第二部 ビジネスマネジメント  -
第四章 デジタルマネジメント
Section 3 文字・音声・映像情報の活用

NGFの研究によれば、文字・音声の情報伝達力は各7%に対して映像の情報伝達力は87%という。裏付ける諺に「百聞は一見に如かず」とか「論より証拠」があるが、日常体験することでもある。近年発達したケータイなどの通信機器は文字・音声だけでなく映像も瞬時にメールする機能をもっている。三種の機能を使って同時メールしたら101%になってしまうではないか。この情報伝達能力が仕事やビジネスに生かされれば確かに革命的変化をもたらすに違いない。
企業や事業の組織が大きくなればなるほど、組織の連携やコミュニケーションは図りにくくなる。3人のチームワークは連携し易いといわれるが、声を掛け合っても助け合っても情報を共有するにも、バランスが良いからに違いない。三脚や三面体などトライアングル・バランスの良さは頻繁に体験するが、一斉メールや同時会議にもトライアングル・バランスを感じる。つまり自分・相手・第三者の三角関係は第三者が無限大に拡大してもトライアングル・バランスが保たれるからのようだ。自分と相手の通信を二次元通信とすれば、第三者が加わっても人数に関係なく三次元通信になり、無限に広がっても情報共有を可能にする。トライアングル・バランスが三次元で実現するから3Dネットワークといっても差し支えない。
文字・音声・映像の三媒体を使って三次元で情報共有すれば、デジタル・マネジメントのパフォーマンスも無限に拡大する可能性がある。1平方キロという広大なコースに散在して仕事をするスタッフ全員が3Dネットワークされていれば、情報を共有して強いチームワークに発展するに違いない。

報告の3Dネットワーク

通常、現場報告は最初に直属の上司か担当者に報告される。緊急でなければ仕事が終ってからか翌日以降、報告書にまとめて提出される。例えば調子の悪いスプリンクラーを発見した場合、グリーンの一部に異常を発見した場合、害虫の異常発生に気付いた場合など、その場で写真を撮って一斉メールで報告しておけば全員が事実確認できると同時に、責任者や担当者はその日のうちに対処できるし、問題が解決したかどうかも全員が確認できる。顧客に事故があった場合も現場に駆けつけたスタッフが状況を撮影しコメントをつけて一斉メールすれば全員が事故発生を知り、近くにいる者は応援に駆けつけることもできる。肥料や薬剤、備品や部品の欠品も気が付いた者がその場でメール報告しておけば、欠品報告されたことも担当者が手配したことも、全員が承知していることになる。次の者が作業するときに補充されているか否かも、事前に分かるから現場の混乱を最小限に食い止めることができるだろう。
フロントヤードの報告も貴重である。プレーを終ったカスタマーからコースメンテナンスに関する苦情や忠告があった場合、すぐ一斉メールで報告しておけばバックヤードにいる近くのスタッフは確認しに行けるし、クレーム処理も迅速に行える。その結果をメール報告すれば、スタッフ全員が経過を知ることができる。前述したコースの異常や異変もプレーを終ったカスタマーによって知らされる場合も少なくない。見過ごされ、先送りされそうな小さなクレームをスタッフ全員でカバーする3Dネットワークは、小さな対応の積み重ねによって大きな信用を獲得するシステムになるだろう。

連絡の3Dネットワーク

コースは、メンバー制ならメンバーが、パブリックなら当日のカスタマーが快適にゴルフをするためにある。主役はあくまでプレーヤーであって決してコースではない。だからコースやメンテナンスがゴルファーの快適なプレーを妨げることがあってはならない。来場したカスタマーは大部分の時間をコース上で過ごすことになるから、コースでプレーしている時間が充実して初めて満足に繋がる。どんな豪華なクラブハウスで迎えられようと、にこやかにフロント応対されようと、コースの渋滞にあって5時間も6時間も不快な思いをさせられては全てが不満足に終る。バックヤードスタッフからフロントヤードにコース状況が頻繁に連絡されれば、スタート時間を調整しマーシャル(コース巡回員)の数を増やして渋滞を最小限に食い止めることができる。
反対にフロントヤードスタッフからバックヤードに事前情報としてプレーヤーの数、技術レベル、競技内容などの連絡が入っていればティーの位置、ピンポジション、グリーンスピードなど調整して対応することができる。女性や高齢者、初心者の多い日にティーを後方や難しい場所に設置することや、ピンポジションを難しくしグリーンを早くすることはスコアを悪くするだけでなく渋滞の原因にもなる。道路と一緒で渋滞する場所はいつも同じなのだから、頻繁に連絡を取り合って対処するのがカスタマーサービスに繋がる。連絡を取り合えば手の開けられるスタッフがフォアキャディー(監視員)に立つことも可能だろう。カスタマーの気が付かないところで不満足の原因を取り除くことこそ本当の顧客満足を得る秘訣かもしれない。3Dネットワークは連絡網の充実で目に見えない大きなCS(顧客満足)を獲得することになるだろう。

相談の3Dネットワーク

情報を共有するだけでなくスタッフが相談しあうことはチームワークを育てる原動力になる。スタッフ誰もが多かれ少なかれ仕事のことや人間関係で問題や課題を抱えている。自分が抱える問題や課題をネットワークに載せられたらどんなに気持ちが楽になり心強いか計り知れない。それは個人の問題や課題ではなく、多くはチーム全体のものであり経営上の問題でもあるはずだ。マネジメントとはスタッフひとり一人の、あるいはチーム全体のパフォーマンスを最大限に引き出すことと定義するならば、個人が抱える小さな問題や課題がチーム全体のパワーロスの大きな原因になっているかもしれない。
3Dネットワークは24時間体制のコミュニケションツールである。酒を飲み交わし、歌を唄い、旅行することによってチームのコミュニケーションを図った時代もあったが、IT革命はデジタルマネジメントの時代を創り、デジタルコミュニケーションによるチームワークや絆づくりを実現したようである。家族とか仲間とは何でも相談しあえる関係にある者をいい、共に悩み共に考え共に喜べる間柄にあることが条件である。今や親子も兄弟も友人もケータイというツールによってデジタルネットワークされている。20世紀の時代には考えられないことではあるが、
21世紀とはそういう時代のようである。デジタル化とかデジタルマネジメントとは、情報だけでなく人間関係や組織運営までがデジタルに連携することをいい、アナログでは得られなかった強い連帯意識や共通観念を生み出す環境を創造したような気がする。生活、家庭、組織、社会の在り方を根底から変える力をもっているがためにIT革命と表現されるのだろうが、革命といわれるからにはマネジメントの在り方をも変えてしまったようである。