- ゴルフ経営原論
- 目 次
- INTRODUCTION
- 第一部 ゴルフビジネス
- 第二部 ビジネスマネジメント
- 要 綱
- 第一章
チームマネジメント - 第二章
フィナンシャルマネジメント - 第三章
タスクマネジメント - 第四章
デジタルマネジメント - 第五章
マネジメント戦略 - おわりに
THE BUSINESS FUNDAMENTALS
- ゴルフ経営原論 第二部 ビジネスマネジメント -
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ビジネスの世界にチームマネジメントの概念が導入されたのは近年になってからのことである。もともとチームマネジメントという考えは軍隊組織や団体競技の世界で発展したものと思われ、集団のパワーやパフォーマンスを個の総体以上に引き出そうとすることに他ならない。類似したキーワードとしてはチームワークとか結束力があるが同義語ではない。チームマネジメントという場合には戦略的で有機的かつ機動的に使われている。
軍隊組織では古くからチームマネジメントの概念が確立されており2500年ほど前の戦国春秋時代の中国大陸では『孫子の兵法』などの古典としても残されている。同時代の『三国志』を読めば数十万人単位の軍隊組織が諸葛孔明をはじめとする軍略家のリーダーシップによって見事にチームマネジメントされていた姿を見ることができる。
同時代のユーラシア大陸でも『聖書』にモーセやダビデなどのリーダーシップによって集団がマネジメントされていた姿を見ることができる。日本の戦国時代でも織田信長、武田信玄、上杉謙信などの軍略家は見事なリーダーシップによって、軍隊や国家組織をマネジメントしているが、彼らは集団のチームワークや結束力を引き出す方策を知っており、その能力に長けていたということにほかならない。
近年の団体競技とくに野球・サッカー・ラグビーの世界ではテレビを通してチームマネジメントの姿を目の当たりに見ることができる。団体競技の場合には種目によってナイン(9人)・イレブン(11人)・フィフティーン(15人)という具合に決められた定員を結束させてパワーやパフォーマンスを引き出さなければならないため、軍隊組織や事業組織のように数の力に頼んで組織を強化することができない。そういう意味では団体競技におけるチームマネジメントが最も進んでいるとも考えられる。
団体競技では「コレはできるがアレはできない」「何でもするがロクな仕事ができない」「指示命令がなければ何もしない」選手はレギュラーメンバーになれない。ところが軍隊や事業組織では「コレができればアレはできなくて良い」「決められたことをするのが仕事」「指示命令に従う」ことが求められる。そのためにビジネスの世界でもチームマネジメントの概念がなかなか導入されなかった背景がある。さらに経済学の見地からすれば雇用創造は至上の命題であって、雇用を増やすことが最大目標で雇用創造なき発展はありえないとされた。だから国家単位でも事業単位でも雇用数を一定条件に限定することはあり得なかった。
ところが経済がグローバル化するに従って企業活動が市場原理や競争原理に支配されるようになり、経営の合理化やコストパフォーマンスが要求されるようになってマネジメントの在り方が一変してきた。公共事業や行政組織に対しても合理化やコストパフォーマンスが求められ、高度なチームマネジメントが必要になってきたのである。
ゴルフビジネスの世界でも大衆化に伴い「金持ちの道楽」から脱皮するために徹底した合理化やコストパフォーマンスが要求されるようになった。欧米ゴルフ界においては既に半世紀前に経営改革が行われてチームマネジメントの概念が確立しているが、アジア日本ではこれからである。アジア日本のゴルフコースは依然として雇用の確保が優先課題となって、極めてコストパフォーマンスの低い労働集約的な経営が続いている。この傾向はゴルフ後進国ほど顕著で高額料金体系に象徴される経営システムとして残っており、景気低迷期におけるゴルフの大衆化にとっても重要課題になっている。
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