- ゴルフ基礎原論
- 目 次
- 第一部 ゴルフゲーム
- 要 綱
- INTRODUCTION
- 第一章
フィロソフィー - 第二章
セオリー - 第三章
メソッド - 第四章
ゲーム - INTRODUCTION
- -1 ショットとパットの
複合ゲーム - -2 マッチプレーの思想と特徴
- -3 ストロークプレーの
思想と特徴 - -4 パーシステムと
ハンディキャップ競技 - -5 ハンディキャッピングと
スロープレーティング - -6 変形競技方式
- 第五章
サイエンス - 第二部 ゴルフマネジメント科学
THE GOLF FUNDAMENTALS
- ゴルフ基礎原論 第一部 ゴルフゲーム -
Section 4 パーシステムとハンディキャップ競技
-3 | ストロークプレーの 思想と特徴 |
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概念
ゴルフコースのトータルパーは、ハンディキャップ0の人がプレーしたときの平均的スコアを表しているが、各ホールのパーは距離によって決められている。
パー3 は 男性250ヤード・女性210ヤード以下
パー4 は 男性470ヤード・女性400ヤード以下
パー5 は 男性471ヤード・女性401ヤード以上
パー6 は 女性のみ576ヤード以上
となっている。
パーシステムはあくまでもHP0のスクラッチプレーヤーを基準に定められており、ボギープレーヤーの基準打数ではない。スクラッチプレーヤーだけがコースと互角の勝負ができる人で、ほとんどのプレーヤーはコースにハンディキャップを貰わなければ互角の勝負にならない。パーやハンディキャップは整数で表すことになっているから、厳密に言えばどのホールも互角ではありえない。
コースの各ホールは距離基準に則って整数でパーが示されているが、距離的にはパー4のホールであっても内容的には限りなくパー3に近いか、パー5に近いホールもある。しっかりしたコースマネジメントをしようと思えば、ホール毎のレーティングが欲しいところだが、日本のゴルフコースにはもともとないから代わりにホールハンディキャップの順位で推定するしかない。外国では難度の高いホール順にホールハンディキャップが1~18までついているが、日本のコースはそのようになっていないので注意する必要がある。日本以外のコースではUSGA基準に従っているので、アウトコースの一番難しいホールが1に、インコースの一番難しいホールが2になっているが、日本のコースはJGA規定によって必ずしもそうなっていないから、スコアカードの情報データによらず、自分の目で慎重に判断すべきである。
世界標準化
そもそもパーシステムやハンディキャップ概念は100年ほど前に女性によって研究されたようで、確かに弱者の立場に立った考えである。弱者の立場にある女性やボギープレーヤーにとって大切な概念で、本来ならパーシステムは女性やボギープレーヤー用に調整されてこそ、コース攻略の有効手段となりうる。
ゴルフの歴史に較べればパーシステムやハンディキャップシステムの歴史は浅くUSGAの資料によればトム・モリスが全英オープンに優勝した年の1870年に優勝スコアを予想して、それをパーと呼ぶようになったとある。最初のコースレートシステムは1900年頃レディースゴルフユニオン(LGU)によって考案されたとあり、ロバート・ブラウニングは女性の功績を高く評価している。1963年になってUSGAは独自のコースレートシステムを公表し、公認ハンディキャップ制度に踏み切っている。1979年にディーンクヌース博士が提案するボギーレートやスロープレートを導入したUSGAハンディキャップシステムが検討され、1998年6月より正式にUSGAシステムがグローバルスタンダード(世界標準)として施行された。この新たなシステムによって世界共通のハンディキャップ制度が確立し、世界のゴルファーが共通基準によって技量評価を受け、世界のゴルフコースが共通基準によって難易度評価される環境が整った。私たちはいま世界の何処のコースを訪れても、ハンディキャップインデックスさえ持っていれば、いつでもコースと互角の勝負を挑むことができるようになった。
ストロークプレーにおいてハンディキャッピングは、プレーヤー自身にとって極めて重要な戦略手段となり、コースハンディキャップを参照してプレーの戦略を立てる情報活動の要件になった。現代ゴルフがマネジメントゲーム化した舞台はUSGAハンディキャップシステムによって整えられただけではなく、技量に拘わりなく誰もが自分のパープレーを目指して最大パフォーマンスを発揮してゴルフゲームを全力で楽しめるシステムも構築した。21世紀のパーシステムは人と人が勝敗を競い合うゲームではなく、一人ひとりがコースの難度に挑戦して自己実現するゲームであるといっても差し支えないであろう。ゴルフはもともと優勝劣敗、弱肉強食の世界から抜け出て誰もがお互いの人間性を尊重し励ましあいながら自己実現を達成する、極めて友好的なゲームだったのである。言い換えればストロークプレーとは、人と人が優劣を競い合うゲーム方式ではなく、人がコースに挑戦して自己実現を達成するゲーム方式なのである。だからストロークプレーにおいては審判たる神の前に誠実に正直に闘う姿勢が求められ、他人のプレーを妨害し批判することは厳しく戒められたのであろう。
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