- ゴルフ経営原論
- 目 次
- INTRODUCTION
- 第一部 ゴルフビジネス
- 要 綱
- 第一章
マーケティング - 第二章
プロモーション - INTRODUCTION
- -1 ニューゴルファー開拓と
eラーニングプログラム - -2 ニューゴルファー育成
ファーストティープログラム - -3 練習場常設のプラクティス
&エクササイズプログラム - -4 コース常設のエクササイズ
&トレーニングプログラム - -5 データ分析&バッジテスト
によるモチベーション高揚 - -6 チャレンジマッチとエージ
シュート・オリンピック - 第三章
インストラクション - 第四章-1
経営マネジメント - 第四章-2
施設マネジメント - 第五章
ビジネスポリシー - 第二部 ビジネスマネジメント
THE GOLF FUNDAMENTALS
- ゴルフ経営原論 第一部 ゴルフビジネス -
Section 6 チャレンジマッチとエージシュート・オリンピック
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一般にモチベーションは入門者や初心者の方が高い。しかしモチベーションの問題点は長続きしないことにある。学習心理学に「プラトー現象」という概念があるが、学習者が技術的な行詰まりやマンネリ化によってモチベーションが減退することをいう。多くの場合はこの段階で学習を止めてしまうか、興味が薄らいで練習や努力を怠るようになる。程度の差こそあれ誰にも起こる現象でこのとき新たなヒントや目標が提案されたり、刺激が与えられることによってモチベーションが高まり、再び意欲的に練習し努力するようになる。
コーチがついている場合には素早くプラトー現象に陥っていることを見抜き、相談に乗ったり助言を与えることができるが、独学自習の場合には自力による脱出が難しい。そこでモチベーションを継続させる有効手段として他人と競い合うことが考えられる。どのレベルにおいても人には本能的な競争心や闘争心があり、その本能が刺激されることによってモチベーションが高まれば、自ずとプローモーションは成功へと導かれる。
チャレンジマッチ
実際に行ってみるとストロークプレーよりマッチプレーの方が夢中になることが多い。理由は目の前のライバルとホールバイホールで競い合うため、最終ホールの最終ショットまで緊張感が持続するから、勝っても負けても充実した満足感が得られることによる。ただし対戦相手と実力が伯仲するような組合わせなりハンディキャップ調整が行われる必要がある。
マッチプレーは1対1、1対2、1対3、2対2の互角に勝負できる組合わせか、互角勝負を可能にするハンディキャップ調整が必要で、間違いなければ必ずモチベーションは高まる。ここで例に挙げるのは1対2のマッチプレーで、スクラッチプレーヤーまたはプロ対一般ゴルファー2人の対決である。
スクラッチプレーヤーやプロはパープレーを基準にしているが、一般プレーヤーはボギープレーが基準になっている。ところが一般プレーヤー2人が力を合わせると、毎ホール誰かがパーを取るチャンスに恵まれる。そこで相手となるスクラッチプレーヤーまたはプロは毎ホール手を抜いたり油断することができなくなり緊張が連続する。一方2人組は毎ホール強い相手を脅かすことができるため、いやがうえにもエキサイトしてくる。全員が高いモチベーションを持って戦うことができることになる。
人は誰でも懸命に戦うことによってのみ実戦力を身に付けることができるが、プロといえども試合を経験しなければ実力はつかない。まして一般プレーヤーは殆んど試合経験がないから、練習場でいくら練習してもコースに出ればすぐ「100叩き」に転落する。チャレンジマッチはプロにとってもアマチュアにとっても最高の実力練成道場になるはずである。プロやスクラッチプレーヤーにアマチュアゴルファー3人が挑戦する場合には競技方式によってプロといえども刃が立たない。
3人がハンディキャップ18以下のクラスAメンバーならばベストボール方式(各ホール3人のベストスコアをもって対戦する)で戦う。
3人がハンディキャップ18以上のクラスBメンバーなら、3人のベストポジションを使うスクランブル方式によって戦うが、プロにとってこのクラスの挑戦の方が手強い筈である。
スリースクランブルなら、クラスBプレーヤーでも協力し合って楽々とアンダーパーで回ることができるからである。
参照:
映像アーカイブ / National Golf School 40Lessons : スクランブルゲーム
エージシュートオリンピック
生涯スポーツといわれるゴルフでさえ加齢はモチベーションの低下に繋がる。年齢と共に集中力が低下するだけでなく、飛距離が落ちて気力や体力の低下を自覚するようになるから、余程のモチベーションが与えられない限りシニアゴルファーの復活はありえない。しかし多くのシニアゴルファーにとってエージシュートは夢であり憧れである。そしてほとんどの人が夢や憧れで終らせてしまうのは、自分には到底無理だと諦めてしまうからである。
確かに通常のエージシュートはいくつもの条件が整わなければ達成は難しく、実力・気力・体力の他に健康長寿の条件が揃わなければならない。そこでオリンピックに倣い金・銀・銅メダルのコースを設けることを提案するのである。
ゴールドコース:
パー70以上の18ホール(通常6000ヤード以上)を年齢以下のスコアでまわった場合。
シルバーコース:
パー35以上の9ホール(距離条件なし)を年齢の半分以下のスコアで回った場合。
ブロンズコース:
3人ないし4人の18ホールスクランブルゲームで全員の平均年齢以下のスコアで
回った場合。
この条件設定の下でエージシュートオリンピックを行えば生涯選手として参加できるばかりか、60代で銅メダルに挑戦し、70代前半で銀メダル、70代後半から金メダルと段階的に挑戦できるシステムである。
シニア年齢になれば誰もが健康長寿を願うが、エージシュート達成の絶対条件が健康長寿を全うすることであれば、両者は矛盾することなく両立する。シニアゴルファーにとってはこれ以上のモチベーションはないと思われる。エージシュートが達成されなかったとしても、目標を掲げることによって健康管理や体力トレーニングに対するモチベーションが違うし、長生きしたい理由が明確になって大きな生甲斐となり、益々健康を助長することになるだろう。
エージシュートはオンデマンドの個人記録であるから、常時モチベーションが継続する極めて稀なプロモーションと考えられる。大切なことは、誰もが生涯チャレンジャーであることと、いつチャンスに恵まれるか分からないことを自覚することである。
プロモーションは供給サイドが仕掛ける進行策であるが、需要サイドにモチベーションが働かなければ何の結果も得られない。プロモーションの目的は新たな需要を喚起し、需要を促進することにあるから常にモチベーションを高める策が施されなければ、費用対効果の関係が成り立たない。それはあたかも化学反応や培養を促進するのに触媒を必要とするのにも似て、何が効果的な触媒か考えて実行する必要がある。
プロモーションはマーケティングの具体策であり、顧客創造や需要創造の結果を出さそうとする点で、需要側のモチベーションを必要とする。モチベーションを高め、プロモーション効果を高めるために供給サイドはキャンペーンを張って盛り上がりを演出することは良くある。今日の日本のマーケットの如く、成熟して人々の購買意欲が減退し消費傾向が変化している市場では、確かなマーケティングに基づいた新たな顧客創造や市場創造を目指してプロモーション活動を行い、需要サイドの強いモチベーションを引き出さなければビジネスが成立しない。特に福祉社会が成熟するに従って人々は無償サービスに慣れて、有償サービスに厳しい条件を課すようになるから益々もって顧客満足度のハードルは高くなると考えられる。
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