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National Golf Foundation College Textbooks
THE GOLF FUNDAMENTALS
-  ゴルフ基礎原論  第一部 ゴルフゲーム  -
第三章 メソッド
Section 5 バンカーメソッド

苦手意識の原因

初中級者にはバンカーショットを苦手とする人が多いが、理由は基本メソッドを知らないことと練習していないことによる。上級者にはバンカーショットを得意とする人が多いことから、バンカーショットをマスターすることは上達へのターニングポイントとも思われる。ほとんどの初中級者がバンカーを怖がるが、過去の失敗経験や恐怖体験がトラウマとなってバンカー恐怖症に陥っている場合が多い。芝生の上から打つ通常のショットと異なり、砂場の中に一人で入って孤独な気分となり、そのうえ足場が悪くクラブをソールできない、ボールは見るからに打ちにくそう、と不安要因が重なって誰もが異常な心理状態に陥る。更にどのようにショットしていいか分らない、成功したことも練習したこともない、周囲では「ああしろ、こうしろ」と余計な忠告が飛び交う。結局は散々な思いをした挙句、みんなから又ひと講釈うけなければならない。「思い切って砂を叩け」「いつものようにダフればよいのだ」「バンカーは自分で均しなさい」等々。苦手意識を克服するには基本メソッドを反復練習する以外に良い方法はない。

プラクティス

まず練習したくても練習するバンカーそのものが身近にないことが最重要課題である。練習場はおろかコースにも練習バンカーがない所が多いから丹念に探すか、砂を買ってきて自宅の庭に造るか、海岸に出向くしかない。少ない機会を生かして練習するには次の方法が効果的である。前述した周囲の忠告は全て正しいと考えて良いから

 

(1) まず砂を均す:バンカーの練習ができる所が見つかったとしても、ほとんどの場合に砂場が荒れているはずである。逆に実際のコースではめったに荒れているところがないから、練習に先立って砂場をきれいに均さなければならない。ライの悪いバンカーでいくら練習しても、失敗を重ねて反って自信を失う結果になりかねない。

 

(2) サンドリング:均した砂場に指かクラブで直径10センチほどの輪を一列にいくつか描いて、その輪をサンドウェッジで手前から順番に切り取っていく。スパッと切り取れたら巧くエクスプロージョンショットができたことを意味するし、切り取り損なったりクラブヘッドが砂に食い込んだときはミスショットしたと考えてよい。何度も何度も練習して確実に輪が切り取れるようになったら、いよいよバンカー名手に一歩踏み出したことになる。

 

(3) エクスプロージョン:サンドリングの真ん中にゴルフボールを置いて前と同じように輪を切り取る。なるべくボールは意識せずもっぱら輪を切り取ることに意識を集中すれば、結果としてエクスプロージョンショットになる。反復練習するうちに輪を画かなくても輪がイメージできるようになり、やがて成功確率の高いエクスプロージョンショットになる。

エクササイズ

ターゲットピンの周りに半径1メートルと2メートルの輪をつくり、内周を3点、外周を2点、輪の外を1点、バンカーから出なければ0点としてバンカーのいろいろな状況からコンテストをする。10球トライして何点獲得できるか挑戦するが、複数の人と競争すればモチベーションがいっそう高まる。一般的にエクササイズは余りストイックになるより、遊び感覚で楽しくやる方が長続きするし効果も高いとされる。

基本メソッド

バンカーショットは次の4種類を基本メソッドとしている。

 

(1) パット:土手の低いフラットなバンカーで、砂が硬くライが良好な状態ならばパターを使ったパットが最も安全で確実な方法である。この方法は初心者向きと考えるのは間違いで、トッププレーヤーにとっても基本メソッドとなっている。河川コースやパブリックコースにはこの種のバンカーが多く、パット以外の方法では巧くいかない場合も多い。

 

(2) チップ:同様なバンカーで少し土手がある場合、パターを使って転がすには無理がある。このような場合にはチップショットが有効であるが、少しでもダフると決定的なミスになるから注意を要する。土手の高さやカップまでの距離に合わせてクラブ選択するのは通常のチップと同じ。慣れれば高い確率でワンパト圏内に寄せることができる。

 

(3) ポップ:破裂するという意味だが、通常「目玉」といわれるボールが砂に埋まった状態のショットに使われ、通常のショートアイアンをボールの手前に打ち込んで目玉を破裂させ、その勢いでボールを飛び出させる方法をいう。PWや9IはSWのようにソールにバウンスがないから打ち込めば砂の中にクラブヘッドがめり込んで目玉を破裂させる。

 

(4) エクスプロージョン:サンドショットの基本メソッドで、クラブソールで砂をはじき、砂と一緒にボールをはじき出す方法。1930年代にバウンスの付いたバンカー専用クラブが製造されるようになってから、サンドショットはサンドウェッジと相場が決まったようだが、従来はショートアイアンのフェースを開き、ソールをバウンスのように使ってエクスプロージョンショットしていた。原理が分れば誰でもできる基本メソッドだが、砂の性質や状態によって大分変わるのでケースバイケースで練習しなければ俄かに対応するのは難しい。

 

以上の四種類を基本メソッドとしているが、グリーン周り以外にサイドバンカーやフェアウェイバンカーが随所にあり、通常のショットで対応できる場合も多い。状況が良ければ通常のコントロールスイングと何ら変わりなく、注意する点としてハザード内だからソールしないこと、足場が柔らかいからスタンスを固めてスイングをコントロールすること、少しでもダフるとミスショットになるからレベルブローかディセンディングブローで打つことである。このケースもバンカーショットのひとつではあるが、使用クラブの違いはあっても通常のコントロールスイングと考えてよいのではないか。