- ゴルフ基礎原論
- 目 次
- 第一部 ゴルフゲーム
- 第二部 ゴルフマネジメント科学
- 要 綱
- INTRODUCTION
- 第一章
セルフマネジメント - 第二章
コースマネジメント - 第三章
スコアマネジメント - 第四章
ゲームマネジメント - INTRODUCTION
- -1 インフォメーション
- -2 スタティスティックス
- -3 ストラテジー&タクティクス
- 第五章
マネジメントサイエンス - おわりに
THE GOLF FUNDAMENTALS
- ゴルフ基礎原論 第二部 ゴルフマネジメント科学 -
INTRODUCTION
ゴルフゲームは人生や事業に例えられる如く、なかなか思うように運ばない。現代ゴルフでは事前に充分な情報を収集し、可能性や危険性を探り計画や戦略を立てて臨むのと、刹那主義や無計画に臨むのとでは大きな違いがあると考えられている。何事によらず冒険主義によって功を奏することが時々あるが、この場合も緻密な調査や作戦に基づく挑戦が成功を呼び寄せるのであり、決して無謀な冒険から生まれるものではない。むしろ大きな成功の裏には、驚くばかりの緻密な計画や作戦が隠されているはずで、その事実を知ったとき私たちはマネジメントの意義や重要性を思い知らされるのである。現代ゴルフの開拓者である米国ゴルフ界は数々のイノベーションによってコース管理やコース設定に科学を導入し、ゴルフゲームのマネジメント化を進めてきた。
ゴルフコースは18ホールで成り立っているが、世界中のコースは全て異なった形に造られており、それぞれ個性を持っているうえ同じコースを何回プレーしても決して同じ状況にはならない。同じコースと同じプレーヤーが何回対戦しても決して同じゲーム内容にならないところにゴルフゲームの特徴があると考えられている。この特徴を増幅させる要因に、コースもプレーヤーも毎回異なったコンディションの下で対戦しなければならない点が挙げられる。コース側はグリーンスピードが同じでも、カップを切る位置が毎日異なるうえ風向風速が刻々変わる。プレーヤー側は自分自身が信じられないほど毎回コンディションが違うし、精神状態や心理状況は絶えず微妙に揺れ動いている。この二者が対戦すれば確率的にも同じゲーム展開になるはずがない。
第二次大戦後、米国ではゴルフの大衆化に伴ってパブリックコースが増加し、会員制コースに属さないパブリックゴルファーが増えた結果、米国のプライベートコースメンバーは全ゴルファーの8%程度になったと思われる。日本でもバブル経済崩壊に伴う預託会員制コースの大量破綻によってノンメンバーゴルファーが急増し、メンバーゴルファーは全ゴルファーの15%程度に減少した。つまり大多数のゴルファーがビジターであって同じコースでプレーする機会が少なくなったことを意味する。コースが異なればプレーヤーにとり対戦相手が変わって状況も一変する。コースはそれぞれ全く違った顔かたちをしているうえ難度も大幅に異なる。プレーヤーは事前に相手の強さや特徴に関する情報を入手し、自分が得意とする戦法に持ち込むための作戦を立てなければ戦略的に闘えない。道具が進化し多彩なワザが使えるようになった現代ゴルフは自分の最高パフォーマンスを発揮するマネジメントゲームに進化したのである。